ケンムン広場:奄美大島における生物多様性モニタリングサイト
伝え聞くことによると、奄美大島の妖怪ケンムンは、集落のまわりの海辺から山まで、ヒトにかなり近い生息域をもっているようです。手足が長く、毛がふさふさした丸いからだつきのその姿と気配は、奄美の森に棲む動物たちの特徴とも重なります。奄美の森に住むケナガネズミやアマミノクロウサギの毛に包まれた丸い体、まるで道を教えるかのように山道の先を歩いて行くアマミヤマシギの細く長い脚、森に響くアマミイシカワガエル、ルリカケス、リュウキュウコノハズクやアオバズクの声・・・・。私たちは、2014年度から実施している環境研究総合推進費の研究プロジェクト
「自然保護地域における生物多様性保全のための協働管理のための情報交流システムの開発:奄美大島をモデルとして」を始めるにあたって、生物多様性とそれが生み出す生態系サービスについての情報交換の場づくりに関しては、ケンムンに中をとりもってもらうと良さそうだと判断しました。
ケンムン広場は神出鬼没で奄美の人々の心をとらえているケンムンにあやかって、自然と共生するための情報収集や交流、すなわち生物多様性のモニタリングと情報交流を活発にすすめるためのサイトです。
この広場を開いた私たちは、2014年度から実施している環境研究総合推進費の研究プロジェクト「自然保護地域における生物多様性保全のための協働管理のための情報交流システムの開発:奄美大島をモデルとして」を実施している保全生態学(中央大学)と情報学(東京大学)の協働研究チームです。NGOケンムン村とも協力して大きなガジュマルの樹が緑の木陰をつくっているこの広場に多くの人々に集っていただき、自然と共生する奄美の文化、森とそこにすむ動植物について大いに語り合うことができればと思っています。広場には、スマートフォンなど、いくつかの道をたどって入っていただくことができます。
大きなガジュマロ樹のからまりあった幹の間にはいくつかの秘密の扉があります。そこを開けていただくと研究チームの生物多様性研究で得られた「とっておきの情報」をケンムンが伝えてくれる部屋や奄美遺産運動で集めた情報をまとめて展示している部屋があります。ぜひご関心ある扉を開けてみてください(森の樹木とフロラ 奄美のトンボ 奄美のニホンミツバチの生態 シマの宝物 奄美の鳥の観察)。